福井県のえちぜん鉄道は、沿線の観光スポット「福井県立恐竜博物館」(勝山市)のリニューアルオープンに合わせ、勝山永平寺線で新たな観光列車「恐竜列車」の運行を2023年7月15日(土)から開始しました。
新幹線が来る福井は「恐竜増殖中」
福井県は勝山市北谷で1989年(平成元年)から恐竜化石の調査事業を実施しており、これまで多くの化石を発見してきました。この成果をもとに、「恐竜」を中心とした国内最大級の地質・古生物学博物館として2000年(平成12年)に恐竜博物館が開館しました。2014年(平成26年)には、恐竜化石の発掘現場で実際に掘り出す体験ができる全国で初めての施設「野外恐竜博物館」もオープンしています。
日本の恐竜研究の拠点となった恐竜博物館は、楽しんで学べる展示や体験が大人から子どもまで幅広く支持されており、2019年度の来館者数は90万人を超えました。近年は夏休みなどの繁忙期に館内が混雑する一方、野外体験が実施されない冬季の入館者数が伸び悩んでいるという課題が見えてきました。
2023年度末の北陸新幹線延伸開業によりさらなる来館者増が予想されることから、開館以来初の本格的な改修が行われ、2023年7月14日(金)にリニューアルオープンしました。屋内で通年実施する「化石研究体験」が新たに加わり、全シーズンで体験可能な博物館に生まれ変わっています。また、3面大型スクリーンを備えたドーム型の新館が増築されたほか、常設展示の内容も拡充されています。
このリニューアルに乗じて福井県・福井市と商工会議所などが連携し、観光客を「恐竜」でおもてなしする「ウェルカム恐竜 増殖プロジェクト」を立ち上げました。間もなく新幹線が乗り入れる福井駅周辺には恐竜オブジェがあちこちに“増殖”しており、えちぜん鉄道の恐竜列車もその一つのコンテンツとして企画されました。
(えちぜん鉄道「恐竜列車」の運転日・運転時刻・料金、恐竜博物館への路線図など詳細は下の図表を参照)
静岡鉄道からの譲受車両が“恐竜だらけ”に
恐竜列車は冬季を除く土日祝日の運転を基本とし、夏休み期間中は平日も含めて毎日運転します(「三国花火大会」開催当日の2023年8月11日(金・祝)は運休)。福井駅を9:35に発車し、恐竜博物館最寄りの勝山駅に10:30頃に到着する1便のみの運行です。勝山駅では、博物館に直行する10:37発の恐竜列車専用バスに乗り換えることができます。
静岡鉄道で1000形として活躍した2両編成の車両を譲受し、恐竜博物館までの旅を盛り上げるために“フル恐竜仕様”の内外装に改造しています。勝山方の車両の外観にはアメリカ大陸に生息した33種34体、福井方の車両にはアジア地域に生息した38種42体の恐竜や鳥類がそれぞれラッピングされています。その大半は、恐竜博物館に展示されているということです。
恐竜の模型やモニュメントが配置され、すでに博物館にいるような気分になる内装も特徴的です。全車自由席で、今にも恐竜が飛び出してきそうな「ジュラシックゾーン」と、化石の発掘現場にいるような「化石発掘ゾーン」に分かれています。探検隊に扮した乗務員によるおもてなしも用意されます。
料金は大人4,500円、小学生3,300円などで、えちぜん鉄道の一日フリーきっぷと恐竜列車の特別乗車料金、勝山市内バスの乗り放題券、恐竜博物館の常設展観覧料が含まれています(特別展・体験料等は別途)。勝山からのお帰りも、セット券で市内バスとえちぜん鉄道に乗車できます。発売は公式の専用Webサイト限定で、乗車日の前日までに予約・購入する必要があります。
なお、恐竜博物館が開催している「野外恐竜博物館ツアー」は、7月12日(水)から降り続いた大雨の影響により、8月7日(月)までの催行中止が決まっています。参加者専用バスが通行する林道が被害を受け、安全確保までに時間を要するためとしており、ツアー再開の見込みが立った場合はWebサイトで告知するとのことです。